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デルタ株への感染対策、ウレタンマスクではほぼ効果なし

デルタ株への感染対策、ウレタンマスクではほぼ効果なし

8月27日に感染症や科学技術社会論の研究者ら全国の科学者38名が名を連ねたある緊急声明が発表され、注目されています。

東北大学大学院理学研究科の本堂毅准教授、高エネルギー加速器研究機構の平田光司氏によってまとめられオンライン記者会見で説明されたこの声明は、新型コロナウイルスの感染対策について、「空気感染が主な感染経路」という前提でさらなる対策を国や自治体に求めるものでした。

朝日新聞掲載の記事

遅れる日本の対応

日本では新型コロナウイルスのパンデミック当初から、手洗いや消毒、パーテーションといった飛沫感染対策が声高に叫ばれ、変異株としてアルファ株が確認され新規感染者の99%以上がデルタ株への感染に置き換えられた今もなお、その対策は変わっていないように見受けられます。

厚生労働省のウェブサイトでは新型コロナウイルスの感染経路として相変わらず、飛沫感染や接触感染を主な感染経路としており、空気感染の可能性については確証が得られていない、と明言を避けています。

ところが、世界ではすでに一年以上も前の2020年7月9日にWHO(世界保健機構)が新型コロナウイルスの空気感染の可能性を示唆しています。

“Thus, a susceptible person could inhale aerosols, and could become infected if the aerosols contain the virus in sufficient quantity to cause infection within the recipient.”
このように感染者となる人がエアロゾルを吸い込み、そのエアロゾルが感染を引き起こすのに十分な量のウイルスを含んでいれば、感染が引き起こされ得ます。

WHO(世界保健機構)の見解 

そして同2020年10月5日にはアメリカのCDC(疾病対策予防センター)が、空気感染を新型コロナウイルスの感染経路のひとつとして認めています。

CDC(アメリカ疾病対策予防センター)の報告  

CDCはこの報告の中で、大きな飛沫は数秒から数分のうちには沈降するとしていますが、非常に細かな飛沫やエアロゾル粒子は瞬時に乾燥し、数分から数時間に渡って空気中を漂うことがある、としています。

“The smallest very fine droplets, and aerosol particles formed when these fine droplets rapidly dry, are small enough that they can remain suspended in the air for minutes to hours.”
非常に細かな飛沫や、この細かな飛沫が乾燥することによって形成されるエアロゾル粒子は、空気中に数分から数時間に渡って漂うことができるほど小さいものです。

「エアロゾル」については定義が広義で、分子やイオンと同等の0.001㎛(マイクロメートル=1ナノメートル)から100㎛(マイクロメートル)までの大きさ、とされています。

新型コロナウイルスの大きさが約0.1㎛(マイクロメートル)とされていますので、新型コロナウイルスも数分から数時間に渡り、空中を浮遊する可能性があることを意味しています。

ウレタンマスクでは防ぎきれないデルタ株

2021年8月6日に一般社団法人・日本感染症学会および一般社団法人・日本環境感染学会より「一般市民の皆様へ」と題された声明が発表されました。

この中には「デルタ株に感染した人が排出するウイルス量は従来株(に感染した人)の約1000倍」と報告されていることが記載されています。

さらにスーパーコンピューターによるマスクの品質による効果の違いについての解析結果が記載されています。

これによるとウイルスの吸い込みについては、ウレタンマスクの装着ではマスク無しの人よりわずか18%しか吸い込みが低下しなかったとしています。

一方の不織布マスクでは75%までウイルスの吸い込みが低下したとしています。

ウイルスの排出についても、ウレタンマスクではマスク無しの場合より52%しか低下しなかったものが、不織布では82%まで低下したとされています。

一般社団法人・日本感染症学会および一般社団法人・日本環境感染学会による声明

空気感染対策には高性能マスクを

先述の科学者たちの8月27日の緊急声明では、世界で空気感染が新型コロナウイルスの主な感染経路だと考えられるようになっていると指摘。

日本で一般に唱えられているソーシャルディスタンス以上に距離が離れていても感染リスクはあり、逆に空気中のエアロゾルの量を減らすような対策で感染抑制ができると提言しています。

そのうえで、国や自治体に対し、ウレタン製や布製のマスクよりも隙間がなく微粒子ろ過率の高い不織布マスク、レスピレーター・マスクの着用徹底の周知などを求め、内閣官房、厚労省、文部科学省へ声明を送付した、としています。

さらに同記事では、東京大学の米村慈人教授による、「政府の対策はマクロ対策のひとつである緊急事態宣言に大幅に依存している」という指摘を紹介し、「個人の感染を直接防ぐための対策の徹底」などが求められるとし、空気感染対策、必要とされるマスクの品質定義の必要性を訴えました。



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