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空気感染の重大性の軽視 有識者が訴える高性能マスクの必要性

P2マスク

英メディカル・エクスプレスは2月9日、「より良いマスクを着ける時が来た」と題する記事を掲載しました。

この中で、感染力の強い変異株の新型コロナウイルスの感染が拡大しつつある今こそ医療マスクレベルのレスピレーター・マスクを着用すべきだという専門家の指摘を紹介しています。

メディカル・エクスプレスの2月9日の記事

マスク選びのポイント

記事によれば、科学者たちは新型コロナウイルスの主な感染経路が接触感染ではなく、空気媒介伝播つまり空気感染であると認めており、呼吸や会話の際に放出されたマイクロ飛沫は何メートルも移動するという証拠が続々と発見されていると言います。

日本では一般社団法人職業感染制御研究会が、咳やくしゃみによって出た飛沫から空気感染が発生する、と定義しています。

空気感染は、咳やくしゃみ等によって放出された飛沫の水分が蒸発して直径5μm以下の飛沫核となったものが、飛散し、病原体が空気の流れによって運ばれ、これを肺に吸入することにより感染します。

一般社団法人職業感染制御研究会のwebページ

そのうえで先述のメディカル・エクスプレスは、空気中の感染症の伝染を研究している米バージニア工科大学の環境工学教授リンゼイ・マー氏の言葉として、マスクがどれだけ効果があるかは「より高いろ過効率」と「より高い密閉性」による、としています。

高いろ過効率はより多くの微粒子を除去し、高い密閉性は呼気、吸気の漏れを防ぎます。

少しでもマスクのズレがあれば、マスクの性能は50%も発揮されないとも指摘しています。

“You should feel the mask sucking inward when you breathe in”

息を吸ったときにマスクが顔に吸い付くように感じる(のが正しい密閉性だ)。

また最近、日本でも流行りつつある二重マスクなどの複数マスク着用については一定の効果を認めつつも、息苦しさが増すことにより呼気、吸気がフィルター部分を通さず、側面部分などマスク周囲から行き来することにより空気の漏れが発生しやすい、と指摘しています。

高性能マスクについての認識の薄さ

ブリガム&ウィメンズ病院およびハーバード・メディカルスクールより世界的に活躍する医師、ラヌ・ディロン氏。

ディロン医師は、2020年春よりより良いマスクの普及を提唱し続けており、性能の良いマスクの価値を一般の人々へ説く明確なメッセージが巷に足りていないことに不満を訴えています。

アメリカのN95、ヨーロッパのFFP2、オーストラリアのP2などのレスピレーター・マスクはすべて同等の微粒子ろ過効率を審査基準としており、今、これらの高いろ過性能がマスクに求められています。

ディロン氏はこれらの高性能マスクを大量生産、大量供給するような働きかけが本当には為されていない、とも指摘しています。

感染拡大するイギリス変異株

通常の新型コロナウイルスよりも少量のウイルスで感染し、同じような症状を引き起こすとされるイギリス変異株。

奇しくも同2月9日、英BBCニュースは、イギリス変異株がアメリカ国内で急激に広がっている、と報じました。

BBCニュースの2月9日の記事

この記事によると、イギリス変異株「B.1.1.7」はまだアメリカ国内では感染報告が少ないと言います。

ただその新規感染報告での割合は、9日ごとに2倍に増えているといいます。

新型コロナウイルスというものを正しく理解し、また急増しているこのイギリス変異株に対抗する術が模索されています。

空気感染のリスクの軽視

新型コロナウイルスについては、医学界の権威が空気感染を主要感染経路であると認めないことも問題となっています。

MITテクノロジーの昨年10月の記事では、空気媒介伝播が主な感染経路であると主張しているエアロゾル(微笑飛沫)研究者たちは、CDC(アメリカ疾病対策予防センター)の認識の遅さを不満に感じている、と報じています。

MITテクノロジーの10月の記事

20年間エアロゾルを研究してきたコロラド大学ボルダー校のホセ・ルイス・ヒメネス教授は、CDC(アメリカ疾病対策予防センター)の文書が空気感染の重大性を軽視していることは極めて重大である、と警鐘を鳴らしています。

CDC(アメリカ疾病対策予防センター)の昨年10月に更新されたガイドラインが、一般に広く受け入れられている「エアロゾル」という言葉ではなく、「小さな飛沫」という言い回しを使って紛らわしく書かれていると批判しています。

スーパースプレッディング現象が感染の大きな部分を占めることがわかっています。そして、これまでに調査されたどのスーパースプレッディング現象でも、エアロゾル感染が大多数を占めているように思えます

そのうえで新型コロナウイルスの空気感染を認め、強調点を変更し、さらに踏み込んだ対策を普及させることが大切だと説いています。

(空気感染は)全員がタバコの煙を吐き出すようなものであることを理解する必要があります。誰も他人の吐き出した煙をできるだけ吸い込みたくないと思います。

早急な感染経路の見直しと、性能差によるレスピレーター・マスクの有効性の広い認知、そして広く一般へのレスピレーター・マスクの普及が今まさに必要とされています。